Monday, August 29, 2005

少女ヘジャル

元判事のトルコ人老人が、民族紛争のさなか、クルド人孤児ヘジャルを世話し始め、次第に他民族に心を開いていく様子を描く。

あ~あ頑固親父め、なんでそんなに冷たく少女をあしらうのか・・・、なんて思える箇所もなくはないが、総じて、無垢な子どもに顔がほころぶところなど、普遍的な人間愛を映し出していると思う。

やっぱり、その地に住まねば分からぬ事情が多い。それでも、映画を通じて、民族間の経済的格差、少数民族への差別、権力闘争による政治の乱れなどを垣間見ることはできる。重みのある映画には違いはない。

ただ、お年寄り同士の馴れ初めは、映画の中では浮いてしまった。

少女ヘジャル
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ポニーキャニオン (2005/04/20)
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Thursday, August 11, 2005

The Emperor's Club (卒業の朝)

この映画は、教師と生徒の心的まじわりを、教育と社会のありかたを問う形でドラマティックに仕上げている。教育者である主人公が倫理的理想を貫こうとする姿は、感動的だ。使命感が強い余りに、逆に現実社会と教育的理想の狭間で悩み、また、自らの教育の力が及ばなかったことを悔いることにもなる。裕福な家庭の子弟を預かる、保守的な全寮制の男子校も、時代の変化の中で生き残りのための競争にされされている。社会は確かに変容してきている。が、そんなときでも理想を貫ける教育者は、長期的にみれば、あたかも年月を経たワインのように人々から評価されることになるのだ。

あえて難をつけるとすれば、主人公の人間味を出そうとする余りなのか、野球を通して唐突に「おちゃらけ」させてしまうさまは、映画になにか不自然さを与えてしまったのではなかろうか。生徒にとってはそんな一コマが大きな思い出になっているのかもしれないが。

未公開映像にある少しどぎつい場面からも、製作者の意図が垣間見れる。また、製作者による映像秘話も必見。

卒業の朝
卒業の朝
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東宝 (2004/12/23)
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