Monday, February 13, 2006

ホリエモンの行方が気になる

オンライントレードの普及がITバブルを生み、いずれはバブル崩壊という形で家計を揺るがすのではないか。個人ネット株が崩落して多くの家庭崩壊をもたらすのではないか。そんな危惧をしていた矢先、ライブドア事件が起きた。ある意味、大事に至る前に警鐘を鳴らすことができたといえるかもしれない。

渦中の堀江前ライブドア社長、通称ホリエモンは、一般人のヒーローでもあった。ホリエモンが逮捕されたとき、マスコミ各社は彼のことを堀江容疑者と書いた。が、堀江容疑者はこれまでにも、「破壊者」「挑戦者」「救世主」などと形容されていたし、さらには「IT長者」「改革の旗手」「ネット界の寵児」ともてはやされていた。良くも悪くも「時代の顔」であることには間違いなかった。残念ながら、彼が起訴されれば次は堀江被告と呼ばれることになる。

かくいう私は実はホリエモンには一目おいていた。ホリエモンが高崎競馬や近鉄バッファローズの買収話によって知名度を上げた結果、株価を上げたことは、驚くことはなかったが、投資の実力の証明だと思えた。一般人では思いつきこそすれ、行動に出すことは出来なかっただろう。04年11月20日の朝日新聞・Be on Saturdayのインタビューのやり取りには、彼のビジネスに対する姿勢が出ていて面白いので、切り抜いてとっておいた。ちょっと紹介したい。
― つねに投資家の心をくすぐり、株高を誘う「猫じゃらし」商売と評判です。
堀江: 会社って株式をもうけさせるための仕掛けですから。そう思うのは勝手ですが、僕はもうけたいだけ。意図しているわけじゃない。狙って出来れば、世の中、ヒット商品の山ですよ。

― 他の企業に比べ、頭一つ抜けて見える最大の理由は。
堀江: 単純に、普通の経営者に比べて若いからじゃないですか。(略)みんな、やっぱりスピードが遅い。僕も体力的、精神的にいっぱいいっぱいでやってますが、これを50歳でやれと言っても無理。だから、いちばん時間がかかる情報収集と知識の吸収ができていない。

― 東大在学中の96年に起業してますね。
堀江 バイトしてみて、インターネットが大きな市場になることが分かったし、これならナンバーワンになる可能性があると。大学には、ほとんど行ってません。東大には、入ったことが重要で、あとは、「何年入学だよね」「あっ、同じじゃない」って、人脈も勝手にできるんですよ。

― で、業績を順調に延ばし。
堀江: ええ、本当に頭のいいヤツって、なぜか起業しないんです。だから、楽に勝てた。

― サラリーマンになろうと思ったとは。
堀江: 一度もないですね。まず、搾取されるじゃないですか。(略)60歳超えて社長になって、権力握ってカネ持っても、何もできないじゃないですか。食べる量だって減るから、うまいものもあまり食えないし。しかも、ポストはピラミッド型で、社長になるのは一人。こんなねずみ講みたいなシステムを何で信じるのかって。

― 日本が窮屈では。
堀江: 米国に行ったら、自分はワン・オブ・ゼムに過ぎないんですよ。日本だから、「変なヤツ。クレージーだ」と言われながらも、オンリー・ワンなんですよ。願ったりかなったりです。

― お金で計れないような価値を広めたいとは思いませんか。
堀江: それに何の意味があるのか、逆に教えてほしいですよ。世の中、おカネで買えないものはないし、おカネの前ではすべて平等なんです。いくら貧乏でも、才能があれば、それをおカネに換えられるし、頑張った分だけ報われる。頭がいいとか、運動能力が高いとか、芸術的な才能があるとかって、絶対的な基準で比較はできない。でも、稼ぐお金で推し量ることはできるんです。

― 夢はなんですか。
堀江: ないですね。飽きっぽいんで。社長をやっていいのは、最低限もうかれば、何をやってもかまわないところ。知的好奇心を満たすため、毎日、毎時間、違うことをやって、それは満たされている。夢見たいな感傷的なもの、持たなくていいんですよ。

どうだろうか。胸がすく思いがしたり、あるいはムカついたりと、もちろん賛否両論はあるだろう。「ホリエモンは好きになれないけれど、既得権益にしがみつく奴等はもっと嫌い」という声もチラホラ聞こえる。彼のしていることや言っていることは、日本社会に対する戦略(挑戦?)なのであり、日本という土壌があったからこそありえた、と私には思えてならない。現にホリエモンは、日本の市場以外で稼いでいなかった。(もし、世界で勝負できるとすれば、日本で資本力を築いてからと思っていたのかもしれない。)また、ビジネス・ライクとして世の中を割り切れば、ある意味ホリエモンの話はすごくまっとうだ。資本主義を引っ張ってきたのはこういう発想の人たちなのであろうし、ベンチャー・ビジネスならばなおさら、資本力づくりを優先させなければなるまい。

ところで、特捜があれだけ執拗にライブドアをターゲットにして動いているのには、何か逆恨み的な、権力者の根回しをにおわせる。つまり、裏でとある権力者が指図しているということだ。私はそれは、先の衆議院総選挙で広島においてホリエモンと対立して立候補していた、亀○静香・国○新党(日本)代表あるいはその取り巻きがあやしいと思う。選挙で対立候補者のあら探しをするのは当たり前のことだ。専門家にあれこれ調べさせるうちに、よくありがちな株式操作の闇の部分が浮かび上がってきたのだろう。それを根拠に検察を動かしたとすれば納得いく。もし、ホリエモンが選挙に勝っていたとしたら、ライブドア事件が自民党に与えた打撃の大きさはどんなに大きかったことだろうか。

そして今や、全マスコミないしは総国民が反堀江になりかねない状況だ。新聞もテレビも皆が一転して、汗水流さぬライブドアの虚構を叩き始めたとき、新聞の下部に掲載されている広告の、とある雑誌の見出しが目に入った。それは次のように書かれていた。

<総力特集> 資金が少なくても、お金が2倍、3倍に増える 苦労知らず投資術 最短で1000万円を作るツボ

何のことはない。やはり世間一般は、第二の堀江を目指していたのだ。

自民党の武部幹事長は、昨年の総選挙でホリエモンを応援したことで批判を浴びた。同氏はホリエモンについて今、「まだ33歳。10年かかろうが20年かかろうが、能力も持っている。資質もあるとみた。石もて追い返すだけの日本であってはいけない。再挑戦の機会がなければ」と言っている(朝日新聞・朝刊 06年2月12日)。それもそうだし、何より、ホリエモン的発想の人間をつぶしてはならない。多様な価値観を持った人々が切磋琢磨しあえるのが、民主主義社会の利点なのだから。

Sunday, February 05, 2006

かずお先生からの返信!

これは嬉しい!先日紹介した「語りかける中学数学」の、インターネットサイトの投稿ページ「みんなの広場」でのことですが、著者のかずお先生(勝手にこう呼ばせていただきます!)から私のメッセージ宛にお返事をいただきました。明らかにお忙しい方のはずですが、一読者のためにインタラクティブ(双方向的)に接してくれたのです。感動です!こういうのってすごい!本の中だけでなく本の外でも、語る人になってくれているのですよ。それにしても、本を書くほどの人っていうのはやっぱり何か違いますねえ。ハートが違うんでしょうね。

Thursday, February 02, 2006

語りかける中学数学

05年の12月半ば以来、「語りかける中学数学」という本を黙々と勉強してきました。総ページ数767と、決して薄い本ではありませんが、肩の凝らない語り口調の内容で楽しく読め、気付いてみたら数学好きかも、という自分がいました。これで中学3年間分の数学を一通り、目を通したことになり、何か気持ち的に余裕が出てきた感じです。これからが大切なんですけどね。

この数学の本、読みやすくてお勧めです。私のように数学を今更ながら勉強してみたい人、中学校の基礎的学習に背を向けて生きてきたけれども試験で必要という人、または本当に若い人の中には、数学の理解のために何かないかと探している人がいるかも知れません。そんな人たちには、この「語りかける中学数学」(高橋一雄・著、ベレ出版)は最良の伴侶となってくれるでしょう。ホント、個人教師からレッスンを受けているように読めますよ。

語りかける中学数学
語りかける中学数学
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高橋 一雄
ベレ出版 (2005/08)
売り上げランキング: 59,916

このような本をもっと早くから読むことが出来たならば、私も経済の勉強や、統計、人類学の調査などにもっと、自信を持って取り組めたのになぁと思います。いやいや、今でも遅くはない、これから!これから!!いずれは、高校数学版も出るとのことなので、そのときはまた挑戦するつもりです。

計画的に読み進め、達成感もあったので嬉しくて、著者のホームページにお礼のメッセージを書き込んでおきました。 敬礼!