サウジのショッピングモール「キングダムセンター」の3階
「女性たちからベールをはがし、それを建物にかぶせた・・・ 」サウジアラビアの首都、リヤドに出来たショッピングモール「キングダムセンター」の3階がフロア丸ごと女性専用ゾーンになったことに関して、ニュースウィーク日本語版(06年1月11日号:p50)にそう書いてあった。 同誌によると、3階フロアが一番の売れ行きなのだそうだ。
「女性専用フロアなら、サウジの女性たちは心おきなく買い物をしたり、おしゃべりをしたり、食事をしたりできる。スパでくつろいでも大丈夫。長老たちの神経を逆なですることもなければ、厳格なイスラム法に触れることもない。」(同誌)
なるほどねえ。そうきたか。男の目がなければいいんだもんね。
さて、どうでしょうか、冒頭の言葉をどう読みましたか?。私はこう読みます。つまり、ショッピングモールがサウジの女性の地位向上に一役買っている、と・・・(素直に読めばそう読めるよね)。
資本主義社会における「買い物」(する権利)は、民主主義的資本主義の象徴みたいなもの。なぜなら消費活動が経済を牽引しているって言われてるんだから。そのうえ、ショッピングモール自体は良くも悪くもアメリカ文化の代表的な産物。だから、サウジがそのモールを輸入したということはイスラム社会に民主主義をもたらしたことになるって言いたいんでしょ。
しかし、どうも胡散臭いなあ。
たとえ一部の富裕層のみがモールで買い物できるだけだとしても、非民主主義的であるとしてしばしば西洋のメディアに取り上げられるアラブの、非民主主義的な抑圧を受けているはずの女性が、ふたを開けてみれば買い物の主役を担っていたことの方が、よっぽど注目に値するけどなぁ。
そういわれてみれば、日本も男尊女卑の社会として描かれてきたけど、女性が家庭の財布のひもを握っていることなどは、あまり話題にならない。経済活動の目的が、利潤を最高にするためか、あるいは生活を最適化するためかといった、(大切そうだけど)大げさな議論はここではひとまず置いておくとして、アラブ(=イスラム)社会にしても、偏見でしか伝えられてないことは多々あるにちがいない。生きることそのものと密接に関係している宗教(イスラム教)と、派生的な文化現象(ここでは女性のベールやモールでの買い物についてなど)は、内的外的な関係はあるものの、同列に語る類のものじゃあないよ。
ごめん、話の展開に無理があった?
要するに、見える断片を切り取って民主主義だ自由だと論じるから胡散臭くなるの!冒頭の言葉は、ショッピングモール(の輸出)がサウジの民主化を招いているとして一見面白い隠喩表現をしているようでいて、実はそれは、偏狭で帝国主義的な見方なんじゃないかな。
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