朝日新聞の記事「女性来日、比大使館が仲介業から預託金 是正要請」に寄せて
朝日新聞の記事。業界に携わっていた者として、簡単なコメントをしますね。まず、この記事で言う預託金とは、「エスクロー」といいます。日本側のプロモータがフィリピンからタレントを招聘する場合に、2万USドルあるいは相当額のペソをフィリピンの銀行に積むというもの。新聞の記事がいうように、大使館の言い分は、タレントの給与を保護するためとしています。必要があれば、大使館が当エスクロー口座から勝手に給与補填してもよい、と契約するわけです。記事だけみると、あたかも大使館が現金を預かってるみたいで、誤解しちゃうよね。
ちなみに、エスクローを積まないと、日本のプロモータがフィリピンのインター(タレントを送り出すエージェンシー)を通じて招聘できません。
それは次の理由によります。
プロモータ(会社として)は、一定のエージェンシーからのみタレントを招聘できます。その契約のことを以前、CPAと呼んでいました(やがてSPAと改名され、今ではCOVと呼ばれているようです)。契約は年に一度の更新制でした。このための認証手続きが煩雑で、認証料も馬鹿になりません。そして、エスクローは、この契約を新規申請あるいは更新するための絶対条件なのです。
なお、その申請を最終的に認可するのが比大使館の労働担当官様様。ですから、タレントを日本へ招聘するためには、労働担当官に何度も何度も頭を下げる必要があります。ですから裏金が飛び交っても何の不思議もありません。
また、各タレントが来日する前にプロモータは、トランスレーションという書類を大使館で申請しなければなりません。これが7350円の正体で、内訳は、労働部がVerificationの名目で2,100円、並びに領事部(ビザセクション)がAuthenticationの名目で5,250円徴収していました。建前上はプロモータとお店の請負契約書の翻訳文ということでした。
これらのシステムは以前から問題になっていて、外務省から大使館労働部に対して忠告があったはずのですが、招聘業界の自主制度と言う風にすりかえられて、うやむやにされていました。フィリピン本国のDOLE(労働省)とPOEA(海外雇用庁)、そして比大使館労働部ではそれぞれ、利権がからんだいるためか違った見解を示していて、翻弄させられたのを覚えています。確かに、この制度を利用した賄賂が横行していました。が、ある意味では、タレントの福祉や人権擁護として活用されるべきシステムのはずでした。
興行の世界から離れて1年半以上経ち、私の知ることは少々古くなっていると思います。ただ、いまだなおこのような記事を目にすることに、「相変わらずだなあ」というのが感想です。
記事詳細


0 Comments:
Post a Comment
<< Home